2006年10月08日

そしてECがやってくる

Eric Claptonの初来日公演のときのことを思い出す。高校生だった。そのときの異様な興奮を昨日のことのように覚えてはいるのだが、肝心の演奏内容は全く覚えていない。たぶん興奮しすぎだったのだろう。ラストナンバー(アンコール?)がLaylaだったのは確かだが・・・
あれから30年。ECがまたまたニッポンにやって来る。今度のメンバーはちょっとスゴイ。ギタリスト3人などと妙に気合が入っている。

コンビニで買い物をしていたら、雑誌棚にECとJimiの姿を発見。なにかと思ったら、月刊プレイボーイ誌の『史上最高のギタリストは誰だ?』というと特集だった。
くだらねぇ〜と思いつつ買ってしまう。プレイボーイ誌を買うのは『モータウン特集』以来だが、プレイボーイは音楽雑誌じゃないっていうの。

それでその特集のギタリスト・ランキングの1位がECで2位がJimiだというのだが、私は、およそギタリスト・ランキングと名のつくもので、JimiがECの後塵を拝するというのを始めて見た気がする。ECの来日間近というタイミングでこれはちょっとやり過ぎ。などという嫌味はともかくとして、特集の他の記事では、ピーター・バラカンと鮎川誠のロック親父対談が微笑ましかった。

ECの話に戻るのだが、

私にとってこの人ほど切ないプレイヤーはいない。いろいろな意味で。

ある時期を境に私は、ECのギターを聴くのが本当に辛くなってしまった。
白人のブルース・ギタリストという存在を認めることができなくなったし、白人とセッションするB.B.Kingなんてのも認めたくなかった。スティービー・レイ・ボーンという人についても、実は個人的にはあまり評価していない。
白人のブルース・ギタリストを認めるとしたら、ブルースを完全に換骨奪胎してしまうようなタイプ・・・だったら認められるかもしれない。
しかし、ブルースを換骨奪胎してしまうギタリストとして思いつくのは、Jimiしかいない。彼がブルースを換骨奪胎できるのは、何より、彼が骨の髄からブルース・ギタリストだからであることは多分間違いない。

――もう弾かなくてもいいじゃん。歴史にはしっかり名を刻んだし・・・
というのがECに対する私の率直な気持ちだった。
それでも、友人の中にECの熱烈なファンがいて、彼が言うには、ボロボロでもいい、ヨレヨレでもいいし、インチキのブルースでもいいからから自分はECが好きだ、とまで言っていた。
ECは、何故、それほどまでに愛されるのかと呆れながら、私は、さらに切なくなってしまったものだ。だから、それ以来、ECのギターはほとんどと言っていいくらい聴かなくなてしまった。もっと言えば、はっきりと意識的に避けて通ってきた。
そうするうちに、あの疲れを知らない永遠の子供というか、永遠のギター小僧Jeff Beckの発言が聞こえてきた。
「ギタリストの役割は終わった・・・」
この発言を耳にした時には、何か全てが過去のものになってしまうような、怖いくらいに寂しい気がしたものだ。


JazzもRockも何度も終焉の宣言を言い渡されてきたにもかかわらず、JazzもRockも終わったためしがない。終焉の宣言は、大抵の場合、聴き手のその人個人にとっての終焉の宣言であるように思える。だとしたら、音楽に対して終焉を宣言するのは、不謹慎というものだ(よね)。
ロックは死んだ。というとき、確かにその人にとってのロックは終わったに違いないのだろうが。

おそらく・・・音楽は何度でも終わるし、何度でも誕生する。音楽は本質的に決して繰り返すことができないものなのだが、一方でそれは何度でも繰り返す。
「反復」するということには、その言葉が持つニュアンスからは考えられないほどの複雑な、というより不思議な奥行きがある。

IterateとRepeatは違うんだ。多分。
音楽はRepeatすることが不可能、というのは、人はどんどん歳をとるし、プレイヤーは演るたびに成長する。さらに聴き手も聴くたびに成長するし、そして何より「時代」は決して止まらない。
音楽は止まることなくIterateする、というのは、もうすでに何千年もそうしてきたから。


近年久々に聴いてみたECのギターは、何故か、かつてないほどに溌剌としていた・・・ように聴こえるのは気のせいか?
ECは最早渋がる必要がないほどに渋くなってしまった。それは、ファンならよく承知の幾多の挫折のその度に、「弱さ」をあまりにも正直に(あまりにカッコ悪く)晒しながら重ねてきた歳がようやく彼に与えた本当の燻し銀の輝きなのかもしれない。
もしかしたら、ECはいつの間にか、私が認めざるを得ないような、ブルース・ギタリストになったのかもしれない。
今思うのは、骨身を曝しながら積み重ねた歳は、黒人とか白人などという境界を無意味にしてしまうのかもしれない、ということ。人生ある程度のところまでいくと、もう肌の色なんか関係なく、ただの人生だけがあるんじゃないか。
・・・なんて思ったりしたわけです。

posted by BustaCat at 01:50| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rock Is Deadというと、私はすぐにDoorsの曲を思い出します。
「ロックは死んだ」と最初に声高に叫んだのがDoors(ジム・モリソン)だったのかもしれません。

最近のギタリストでは誰か有望な方はいますか?
こちらはDerek Trucksという若者に昨年より注目しております。
Posted by PRINCE_CONTROL at 2006年10月10日 00:04
PRINCE_CONTROLさん。
流石というべきか、ツボに入ったコメントに驚きました。

以下、記事の中で紹介した対談から、ピーター・バラカンさんの発言を引用しておきます。

『デュエイン(デュアン)オールマンの後に誰がいるか考えても、あんまり思いつかない・・・・・・ただ、僕があげたデレク・トラックスには参った。こんなにひっくり返るほど感激するギタリストが登場するとは思ってなかったよ』

私の記事中の、ロックの死とか反復は、まさにDerek Trucksのライブを聴きながら書いたものです。
Posted by BustaCat at 2006年10月10日 23:48
こんにちは。

>ボロボロでもいい、ヨレヨレでもいいし、インチキのブルースでもいいからから自分はECが好きだ、とまで言っていた。

はい、私のEC好き友人もそう言ってました(笑)
今回のLiveもネットで知り合った、そういうECマニア(と、言っていいのか?)の方々と一緒に何度か見に行くみたいです。
で、私はといいますと今回のEC先生はDerek&TheDominosのにおいプンプン&DerekTrucksが来るということで、12月5日に参戦いたします(笑)

私のblogでも記事を書きましたけど、DerekTrucksには注目してるんですよ〜。
EC好き友人に今期EC先生ツアーの映像はすでに見せてもらってるんですけど、Derekは随分うまくなってますよ。
EC先生と一緒なら、彼のスライドの良さが生きるだろうな、とは思ってたんですけどかなり期待できそうです。

BustaCatさんは、行かないのでしょうか?(笑)
Posted by オクターブの共鳴音 at 2006年10月11日 18:42
オクターブさん、やっぱり参戦ですね。
私は友人と日程調整中なんですが、40代オヤジ、かつ非サラリーマンの日程調整というのが、これまた難しい(笑
じゃ一人で行けよ、ということになるのですが、やっぱECは古い友人たちといっしょに観たい・・・
というわけで未定です。
Derek Trucksですが、ツアーバンドの一員としては、絶対いいギター弾くと妙に確信してます。
この人は多分、ソロや自分のバンドの仕事より脇役の方がいいんじゃないかな。
それと絶対に『ライブ』の人ですね。
Posted by BustaCat at 2006年10月12日 00:14
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