2005年04月17日

Jimi Plays Berkeley

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Jimi Plays Berkeley
Berkeley Community Theatre, California
Sat May 30, 1970

Tower Of Powerが共演

 70年の Jimi は、過密スケジュールがたたってか(おそらくそうだだろう)終始体調が冴えず、ツアーもフェスティバルもコンディションに恵まれないことが多かった。Jimi のマニアたちの中には、70年代のライブはテンションが下がっていると評する人もいる。しかし、たとえ悪いコンディションのときであっても、常に最低線のコントロールが利いていて、それなりのレベルの演奏を聴かせていることを考えると、少なくともトリオでのギタープレイはこのときすでに円熟の域に達しているように思う。

 そんな中、このバークレイでのコンサートでは、Jimi のコンディションはかなり良かったようで、演奏内容もとても充実している。断片的だが映像を観ることができるし、2nd Show の演奏は CD で全ての演奏を聴くことができ、しかもそのサウンド・クオリティはきわめて高い。

 ここでは、DVD と CD をまとめて紹介してしまおうと思う。
 

 まず、DVD の方なのだが、これは以前に出ていたビデオをリマスタしたLDがあって、それをさらにDVD化しただけのもののようだ。このDVDには、2nd Show の Audio トラックのみがボーナストラックとして完全収録されており一見お買い得に見える。
 しかし、ライナーの記載がたいへん紛らわしく、これがいただけない。ライナーでは 1st Show の映像をほとんどを収録し、2nd Show の Audio トラックを完全収録しているかのように記載されているがこれは違う(2nd Show の曲を曲順を変えて収めてあることから意図的であるとも勘ぐれる)。
 映像として収録されているのは、1st Show の一部と 2nd Show の一部である。そして、完全収録されている Audio トラックのみの 2nd Show の方なのだが、これは、やはり 2nd Show を完全収録した CD とソースは全く一緒だが、サウンドは全くの別物だ。CD の方が比較にならないくらいにクリアで良質なサウンドを聴くことができる。

 映像の方は、ドキュメンタリ・タッチの編集になっていて、当時学生運動のメッカであったバークレイを舞台に、「時代」を映像の中に織り込もうとする意図が見えるが、映画として見てしまうとまるでお話にならない。素人の撮影したものに毛が生えたレベルである。
 それでも、冒頭に収められたリハーサル風景は貴重である。Jimi は、直前の22日に体調を崩してステージをキャンセルしている。扁桃腺炎とのことだ。そのため、ステージに間があいてしまったので入念なリハーサルが行われたという説と、映画の撮影を意識してリハーサルを入念にしたという説がある。どちらにせよ、緊張感の漂う真剣なリハーサルの様子を垣間見ることができる。
 Jimi はステージの前には、サウンドチェックをするだけで、入念なリハーサルというのは珍しかったということだ。しかも、ステージ前にセット・リストを決定することもなく、ステージが始まってからJimiの気分で曲を決めていた、という話もある。
 映像をこき下ろしてしまったが、実はこの時の撮影は、予算もクルーの頭数も足りず、その上、セット・リストもなく、つまりは、次に何の曲が演奏されるのかもわからない状態だったということで、大変困難なものだったのだ。そんな中で不完全ながらもShowのクライマックスを何とか映像として残してくれたクルーたちに私たちは感謝すべきなのかもしれない。

 この日のセットリストは以下のようになっている。

1st Show
01. Fire
02. Johnny B. Goode
03. Hear My Train A Comin'
04. Foxey Lady
05. Machine Gun
06. Freedom
07. Red House
08. Message To Love
09. Ezy Ryder
10. Star Spangled Banner
11. Purple Haze
12. Voodoo Child

2nd Show
01. Pass It On
02. Hey Baby(Land Of The New Raising Sun)
03. Lover Man
04. Stone Free
05. Hey Joe
06. I Don't Live Today
07. Machine Gun
08. Foxey Lady
09. Star Spangled Banner
10. Purple Haze
11. Voodoo Child
青字はDVDで映像を見ることができるもの


 まず、映像の方だが、1st-02. Johnny B. Goode と 2nd-03. Lover Man は、今は入手困難な Hendrix In The West に収められていたもの。1st Show は最初から全開という感じで、高いテンションのまま最後まで一気に引っ張る。かなり荒っぽい演奏だが、映像で見ても、この時のJimiは、とても気分良くノリまくっている。1st Show の10. Star Spangled Banner
〜11. Purple Haze は怒涛の演奏で圧巻だ。これを映像として残せただけでも価値があると思う。Purple Haze はもしかしたら、これがベスト・テイクかもしれない、と思わせるものがるし、Star Spangled Banner は少なくとも 名演として名高い Woodstock のそれと甲乙つけがたいものがあるが、むしろ、こちらの方がダイナミックでインスピレーションに富んでいるように感じられる。

 さて、2nd Show を完全収録した CD の方だが、先にも述べたように音質は抜群に良い。1970年のライブを聴いているとは思えないほどだ。映像のサウンドトラックの方は、ライブの臨場感と迫力に鬼気迫るものがあるものの、とにかく荒っぽいサウンドで Mitch のドラムがところどころ Jimi のギターの轟音の後ろで下にもぐってしまう。また、映像の方も強引に編集している部分もあるし、曲の途中が切れてしまっている部分もある。

 2nd Show は、1st に比べるとぐっとテンションが下がる。一日に2セットというのは気分的にも、体力的にもきついだろうだろうと想像できる。また、選曲によるところも大きく、わりと緩やかにスタートして徐々に盛り上がろうという意図があったのかもしれない。また、サウンドが PA からのライン録り(?)でクリアであるために、余計にそう感じるということもある。ここでは観客の熱狂はあまり伝わってこない。
 テンションが下がっているとはいえ、逆に Jimi のプレイはコントロールが効いていて質は極めて高い。オープニングの2曲 01. Pass It On 〜 02. Hey Baby(Land Of The New Raising Sun) はしっとりした演奏が素晴らしい。特に Hey Baby(Land Of The New Raising Sun) のプレイは何度聴いても飽きることがない奥行きを感じさせる。
 ステージは、Lover Man から Machine Gun あたりまで、いい感じに盛り上がっていく。Jimi は 喉がもう限界に近くなってきており声がかすれ始めいるのだが、Guitar は冴えを失なわない。サウンド・コントロールがこれほどうまくいっているのは、他ではなかったような気がする。
 Foxey Lady あたりから、ステージはクライマックスへ達するはずだったのだが、これがいけない。途中で(おそらく)弦が切れてチューニングが大きく狂ってしまう。仕方なくギターを取り替えて演奏を続けるのだが、取り替えたギターがまたしてもチューニングが…。これで失速してしまったか、その後がやや冴えない。Star Spangled Banner と Purple Haze は無難にまとめるものの、1st Show の冴えには及ばない。そして、Voodoo Child は、心なしかやや不完全燃焼気味に終わってしまう。

 それでも、2 ステージを通してとても良いコンサートだったのだと思う。こうなると、1st Show, 2nd Show を映像つきで全て観たい(聴きたい)と思うのが人情というもの。特に 1st Show の06. Freedom, 07. Red House, 08. Message To Love, 09. Ezy Ryder を観ることができないのは、実に残念だ。





posted by BustaCat at 08:13| Comment(2) | TrackBack(2) | ジミ・ヘンドリクス REVIEW | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私もDVDは持ってます。
BustaCatさんの言われるとおりですね。一部ではなく全部見たい、という気がします。映像で見るとjimiのコンディションも良いみたいだし。
 これに入ってる「Johnny B. Good」は「in the west」に入ってるものですね。聴きなれたアルバムの映像を見ることが出来て、買った当初は繰り返し見てました(笑)。まぁ、これも曲全体が入って無いですけど...。
それではまた。
Posted by axis_009 at 2005年04月17日 09:09
axis_009さん>
コメントどうもです。
私も 動くJohnny B. Good を観たときにはえらく感激しました。なんつっても In The West は 100 回は聴いてますから(笑
Posted by BustaCat(Musicology) at 2005年04月18日 21:15
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