2005年04月29日

Jimi Hendrix Woodstock の覚書

Woodstock2.jpg

 Woodstock の Jimiに 関して現在入手可能なものとしてCD と DVD がある。CD は2枚組みで16曲を収めており、オリジナル演奏時の曲順で、2曲を除いてほぼステージの全貌を聴くことができる。DVD の方は文字通りの「いいとこ録り」で、曲順もオリジナルとは違うし、かなりの編集がなされているが、その編集はとても丁寧になされており完成度は高いと思う。

 最初に書いてしまうと、Woodstock における Jimi のステージは、全体としては、いまひとつ冴えない出来だったということがある。誤解しないで欲しいのだが、全体として冴えないといっても、部分的には素晴らしいプレイがたくさんあるし、これが歴史的な名演であることに意義を唱えるつもりは全くない。しかし、CD で再現されたステージの全体を通して聴いてみると、出来のいい曲と悪い曲の差が激しい。出来・不出来の差が激しいということは、要するに全体として調子がよくなかったということなのだ。DVD に収められた演奏は、名演の名に恥じないものだが、そこからはずされた演奏については……結構辛いものがある……。
 伝記本から、Mitch Mitchell の発言をひっぱっておこう。
「メチャクチャだったよ……何台かの車に分乗して、何時間もかけてやっと着いたと思ったら、楽屋も何もないんだ。挙句の果てに。泥の海を1キロ近くも歩かされて、小さなコテッジにたどりついたら、そこにも何もないんだ。いわぬが花かもしれないけどね……10日間リハーサルしただけだからね、音にもそれが出てたと思うよ」


エレクトリック・ジプシー邦訳P220

 Jimi とそのバンド、Gypsy Son's & Rainbows は、当初の予定ではフェスティバルの最終日、8月17日の深夜に大トリとして登場するはずだった。それが押しに押して、結局 Jimi がステージに登場したのは、18日の朝っぱら8時のことだった。この時会場には3万人程度の観客しか残っていなかったという。Jimi たちは、「何もない」楽屋でさんざん待たされて、その間にすることといったら……他にない……。
 月曜日の朝8時!……厳しい。

 この時のJimi のバンドには6人がクレジットされており、トリオにギターと二人のパーカッションが加わっている。ほとんどトリオでライブをやっていた Jimi としては異例の構成。「実験的」であったかもしれない。
 現在聴くことのできるリマスタされた音では、トリオ以外の音(パーカッションとセカンド・ギター)が、極端にオフにバランスされていて一部を除いてほとんど聴こえないに近い。このことについてコアなファンの方々が不満を表明されている。つまり6人編成のバンドというのがこの時の Jimi のプランであって、それをリマスタでトリオの音にしてしまうことは、Jimi の遺志に対する一種の裏切りだと。

 Larry Lee は、リズム・ギターとしてクレジットされているが、リズムギターのプレイは今のマスタではほとんど聴こえない(ただし、2nd ギターとしての彼のプレイは、しっかりと「再現」されており、この2本のギターのスリリングな絡みは奇跡的にカッコよい……Jam Back At The House)。殊に初期のナンバーについては、Jimi が弾きながら歌ってトリオを半ば強引に引っぱっていくというスタイルが定着しているだけに、2ndギターを加えるといっても、おいそれと弾けるものではない。
 それに加えて、Mitch Mitchell のドラムスタイルを考えると、パーカッションと激しく相性が悪いのは間違いないと思う(なんといっても彼は60年代ロック「手数王」ですから)。
 あくまで想像なのだが、この時のバンドの音、6人編成のGypsy Son's & Rainbowsの音は、怒涛の音圧だったのではないか(比較的悪い意味で)。しかも、コンビネーションは必ずしもよくなかったようだ……。となると、リマスタの方針はある意味で正解だったということもできなくはない。

 で、結論めいた自分の意見を書くと、
 まず、Jimi のコアなファン以外の方、とくにこれからJimiのライブを聴いてみようという方には、いいとこ録りの DVD をお勧めしたい。これは再現性に劣るけれど、音楽のパッケージとしてとてもよくまとまっているから。
 そして、マニアック・アイテムとしての CD についてのみ言えば、コアなファンの方々の意見にほぼ賛成して、もっと再現性の高い「音」が聴いてみたい。


posted by BustaCat at 19:45| Comment(2) | TrackBack(1) | ジミ・ヘンドリクス REVIEW | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。昨晩、ジミヘン&オーティス ライブアットモンタレー(1967年6月)のレーザーディスク見ました。ジミヘンのギター燃やすシーンがありました。いやーまさか見れると思いませんでした。ほんとにすごい!!の一言につきるね。ジミヘンのウッドストックDVD、是非手に入れたいね!
Posted by ミーナ at 2005年05月02日 13:15
ミーナさん
いつもどうもです。
ウッドストックDVD ぜひ観てね!
モンタレーとは対照的に、クールでカリスマ的なJimi を観ることができますよ。
私がリンクしたのはImport版(リージョン1)で、Amazonでは国内版(リージョン2)は品切れのようですが、都内大手のショップには結構おいてあるみたいですよ。私の地元のツタヤでは、常時在庫があるみたい。
Posted by at 2005年05月02日 23:48
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1967〜1970
Excerpt: Ob-la-daなど明るい曲もあり
Weblog: ロックを極める
Tracked: 2007-09-30 06:50
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