2005年07月09日

ジュジュの末裔とドクター・ジョン

ヴードゥーの精霊=ロアは十字路に居るのだという。
ロバート・ジョンソンで有名な『十字路で悪魔に魂を売る』は、ヴードゥーの言い伝えとキリスト経が交じり合った表現。要するに、彼の才能への畏怖とやっかみが半々に入り混じった言い回しであったに違いない。

ニューオリンズにおいて、ヴードゥーは、「グリグリ」や「フードゥー」と呼ばれることがある。おもに白人がそれをヴードゥーと呼び、黒人はフードゥーと呼ぶのだそうだ。ニューオリンズのヴードゥー信者の多くは、フランス領ハイチが独立した際にニューオリンズへ連れてこられた人々だという。ハイチがフランス領だったようにニューオリンズもまたフランス領だった。一般にフランス領だった地域は他の被領有地域よりも、アフロ・アメリカンに対する扱いが寛容で、ニューオリンズの例で言えば、コンガ広場では太鼓の演奏が許されたり、(キリスト教の)教会の裏でヴードゥーの儀式を行うことが許される例さえあったという。

ヴードゥーは主としてハイチから合衆国へ来たのだが、さらにルーツを手繰ると、それはアフリカのナイジェリア地方、ヨルバ族のジュジュへたどり着くらしい。ブラジルのマクンバやキューバのサンテリアも同様のルーツを持つのだそうだ。



19世紀のニューオリンズで一人の呪術師が人々から崇められていた。彼は、ときとしてヴードゥーの精霊(ロア)と同等に扱われることさえあったと言う。彼は、人々からドクター・ジョンと呼ばれていた。


皆さんご存知、ピアニストのドクター・ジョンは、この伝説の呪術師から名前を拝借している。
ドクター・ジョンのインタビュー
子供の頃、クラッカー・ジャック・ドラッグ・ストアという店があって、その店にはビーカーに入った動物やら骸骨やら様々な奇妙なものが置いてあったんだ。 つまりヴ−ドゥー・ショップでもあったわけだ。 その店に、ドクター・マイティという人がいて、彼のお姉さんもロス・チァイルド・アンティーク・ショップという店を開いていた。 もっと専門的なヴ−ドゥー・ショップで、ヴ−ドゥーに関する書物も置いてあった。 そこにあった本の中で、歴史上の人物ドクター・ジョンという名を見つけたのさ。


呪術師は、ルート・ドクターとかフードゥー・マンと呼ばれることもあった。ハリウッド的な描写のせいか、ヴードゥーにはしばしば『黒魔術』としてのイメージが付きまとうが、実は『白魔術』的な役割の方が現実的であったように見受けられる。ドクター・ジョンは人々の畏怖の対象であると同時に、人々の心を癒す役割を担っていたようだ。

ヴードゥーの魔力のことをモジョ MOJO と呼ぶ。Mojo Hand とか、Mojo Working といった表現を聞いたことがあると思う。"Got My Mojo Workin'"というのは、“(お前に)魔法(呪い)をかけてやる!”という意味なのだそうだ。

フーチー・クーチー Hoochie Coochie もモジョと同義で魔力のことを指したらしいが、こちらは魔力は魔力でも、「性的」な魔力のことを指す場合が多い。フーチー・クーチー・マン Hoochie Coochie Man とは、言ってしまえば「精力絶倫男」のことだ。『性』の力は、もっとも身近でもっとも強力な魔力であって、もっともプリミティブな『生』の力だということなのだろう。

posted by BustaCat at 00:34| Comment(5) | TrackBack(0) | 音楽の戯言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。お久しぶりです。
(体調は、いかがですか?)
Dr.Johnのお話、興味深いです。
渋谷でLive(ギグ形式だった)を見たこと
あるんですけど、サイケデリックなやつもやってくれて、かなりよかった記憶があります。

マディ・ウォータースの「Got My Mojo 〜」や
「Hoochie Coochie Man」
も、知ってるんですけど、こういう意味だとは
知らなかったので、そう考えて聞いてみると
また違った感じに聞けるかもしれませんね。

楽しい情報ありがとうございます(笑)
Posted by オクターブの共鳴音 at 2005年07月09日 08:50
とても興味深いお話でした。
MOJOというと思い出すのはジム・モリソンなのですが、確かドアーズの『L.A. Woman』のタイトル曲に、
「Mr.Mojo Risin' 」という一節があったと思うのですが、これはジムの言葉遊びで、並べ替えるとJim Morrisonになるという話があったような・・・
>Hoochie Coochie Man とは、言ってしまえば「精力絶倫男」のこと
 そうなんですか!最近、ストーンズの『Sticky Fingers』の意味とT.Rexの『Tank』のジャケットの意味を知ったばかりなもので、これも勉強(?)になりました(笑)
Posted by PRINCE_CONTROL at 2005年07月09日 13:01
オクターブの共鳴音さん。お久しぶり。
>(体調は、いかがですか?)
ありがとうございます。思い切ってまとまった休みをとってしまったら復活しましたです。

>Dr.John…渋谷でLive
あ、私も渋谷でDr.Johnみたんですけど、もしかして同じときかな?

PRINCE_CONTROL さん。どうもです。
因みにプリンスは、絶対フーチー・クーチーではないと私は思ってます。
どぎつい歌詞を見るほどに、黒人的な「おおらかさ」よりも、キリスト教的な禁欲の裏返しを感じてしまう…。
ついでに、ジミは、モロにフーチー・クーチーですね。伝説もいろいろあるし(笑

Posted by BustaCat at 2005年07月09日 23:05
>あ、私も渋谷でDr.Johnみたんですけど、もしかして同じときかな?

え〜っと・・・(今、チケットを見ている)・・
2002年3月23日(土)
CLUB QUATTRO 4:00PM開場
5:00PM開演 スタンディング¥6,800
ですね(笑)

同じでしょうか?(笑)

この年は、日比谷野音にブルース・カーニバルも
見に行き、ジミー・ボーン(SRVのお兄ちゃん)は良かったんですけど、バディ・ガイの酷い演奏聞かされたりしてしまったりと(笑)、なんだかLiveを良く見に行っていたような気がします。
Posted by オクターブの共鳴音 at 2005年07月10日 10:06
残念ながら(?)私がみたのはずっと昔です。
オクターブの共鳴音 さんとは、いろいろと「偶然」が重なるもので、何処かで、知らないうちに、すれ違ったり、会ったりしてような気がしたのですが(笑
Posted by BustaCat at 2005年07月11日 20:13
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