2005年09月01日

アル・クーパーに関する etc

al_n.jpg
アル・クーパーがニューアルバムを出したらしい。

アル・クーパーという人は、70年前後のロック・シーンで、プレイヤーというよりは『仕掛人』として大活躍している。何を仕掛けたのかといえば、NEW ROCK を軸とした「異種交配」とでも言えばいいのかな。
とにかく仕掛人としての彼は、時代のツボに入りまくり、オイシイところを全部持っていった感がある。

この人、実に多くの仕事をこなしているが、
al_0.jpg
スーパー・セッション Super Session

al_1.jpg
フィルモアの奇跡 Live Adventures Of Michael Bloomfield & Al Kooper といったところが有名だが。

他にも、個人的に忘れがたい
bst1.jpg
血と汗と涙 Blood, Sweat and Teras
bst0.jpg
子供は人類の父である Child Is Father to the Man

Blood, Sweat and Teras (BST) というバンドを仕掛けていたりする。
この BST というバンド、当時「ブラス・ロック」なんていう呼び方をされていたのだが、ようするに、NEW ROCKにソウルフルな16ビートと、ファンキーでジャジーなホーンセクションを持ち込むという試みだった。
今、聴き返してみても、BST の時代を先取りした感覚には驚かされる。(私は小学生の頃、このBSTの大ファンだった、どうでもいいが…)

そして、スーパーセッションは、ロック側だけにとどまらず、
Live_and_well.jpg
Live And Well/ B.B.King
B.B.Kingを引きずりだして、スーパー・セッションを仕組んだりしている。
このアルバム、ブルース・ファンには、あんまり評判良くないみたいだが、またしても、ソウルフルな16ビートと、ファンキーでジャジーなホーンセクションの上に、今度は、最もメジャーな本物のブルース・ギタリストをひっぱってくる、という仕掛になっている。このブルーズ・セッションの洗練具合は、今聴いても全く色あせていない(そしてまた、このアルバムは、私が十代の頃最もよく聴いたブルーズのアルバムだった)。
アル・クーパーは、他にも、Jimi Hendrix の "Electric Ladyland" のセッションにも顔をだしていたりする。

NEW ROCK というのは、今にして思うと、実にスピード感に満ちた歴史を持っていて、創生〜爆発〜円熟という歴史を10年足らずの間に遂げてしまっている。ムクムクと創生してきたかと思えば、一気に爆発、そして気がつくと既に熟成してしまっていたのだ。
そして、NEW ROCK の速過ぎる歴史の加速に、アル・クーパーが一役も二役もかっているのは間違いない。



ところで、ROCKというのは、異種交配によって誕生し、異種交配によって発展した音楽だ。『混血』こそがROCKの本質であるといっていいと思う。アル・クーパーは、実に異種交配請負人みたいな人だった。
ところで、ROCK と交配された様々なBLACK系の音楽全てが混血性を持っているわけだし、そもそも、アフロ・アメリカンというのは、文字通りの「混血」であるわけだ。
なんか、当たり前のことのようだが、考えてみると、この「当たり前」は少し奇妙〜微妙に面白いのではないだろうか。
(少なくとも音楽に関して)「黒人独特の〜」という表現を使うとき、それは、普通の意味で、継承された血の特異性=純血性を言いながら、実は、同時に本質的な混血性=異種交配をくり返すことによって、まさにそのことによって産まれた独自の優位性(強さと美しさ)を表している。

近代の西欧社会は、ご存知のようにアフリカの人々に巨大な不幸をもたらした。
それでも、その不幸を背負った人々の末裔は、まさにその不幸をもたらしたシステムそのもの(近代の消費システム)を利用して他に類を見ない文化を創り上げた。

そして、ブラック・ミュージックにおいて、純血性と混血性はいつも表と裏の関係にある。片方だけを見てしまうと、どうしても見失うものがあるように思える。


posted by BustaCat at 01:20| Comment(5) | TrackBack(2) | 音楽の戯言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アル・クーパー大好きです。
ディランやジミヘンとのセッション、白人ブルースロックバンドのブルース・プロジェクト、ブラスロックの先駆けBS&T、ジャズのジャムセッションスタイルを取り入れたスーパーセッション〜フィルモアの奇蹟、ネオソウル世代からの再評価著しい天才少年シュギーオーティスの発掘、シンガーソングライターとしての本領を発揮したソロ作の数々、レーナード・スキナードなどを見出した南部ロックレーベルの設立…と彼のロックに対する偉大な貢献は枚挙にいとまがありませんね。
それにしても小学生でBS&Tとは(笑)。ぼくもブラスの入ったロックが好きで、シカゴや、プログレだけどキンクリなどよく聴いてます。
Posted by 魂先生 at 2005年09月02日 06:02
魂-「先生」 !!
コメントありがとうございます。
私がガキだった頃のブラス:ロックとの係わりは結構深くて…
それが、後のファンク狂いの素地になっているような気がしますです。
BST、シカゴに始まって、チェイス、オシビサ、タワーオブパワーときて、さらにアベレージホワイトバンド……とあげ連ねるときりがないのですが、行き着くところは、決定版最終兵器=EW&Fだったりします(ロックじゃないけど)。

>天才少年シュギーオーティス
シュギーオーティスって、すっかり忘れてました。さすが先生!(笑
今でも活動してるのかな??
Posted by BustaCat at 2005年09月02日 23:30
TBありがとうございます!
小学生の頃から洋楽を聴いているのですね。早熟すぎです。
アル・クーパーは、以前の日記にも書いた通り、人から勧められて聴くようになりまして、アルバムはほとんど持っていません。
(上記『レア&ウェルダン』の他、一昨年に紙ジャケが出たときに「スーパーセッション」と「クーパーセッション』の2枚を買ったのみ。)
魂先生が言っているシュギー・オーティス(シャギーとずっと読んでいました)は、こんないきさつで聴いていたのですが、
http://www3.diary.ne.jp/search.cgi?user=336137&cmd=show&num=2003081441060828277&log=2005320224&word=Otis

アル・クーパー周辺に集まる人達って才能がある人ばかりですね。(そのへんがまたプリンスに似ていると私は思ってます。)

ではこちらもTBさせて頂きますね!
Posted by PRINCE_CONTROL at 2005年09月03日 10:20
ファンク、いいですねぇ〜。
私も最近はずっとファンク三昧でして、
やはり個人的にも最終兵器なEW&Fの
国内版紙ジャケシリーズを集めたりしてます。
70年代の彼らは本当に神でした。
TOWER OF POWERはそれよりちょっと
劣りますけどやはりスキです。

Shuggie OtisはPRINCE_CONTROLさんの
日記にもありますけど、
プリンス・チルドレンと呼ばれる
現代ソウルの牽引者たちが
猛烈に愛してるみたいなんですよね。
最近でもMos Defという人気ラッパーや
Raphael Saadiqというネオソウル作家が
自身の作品でゲストに招いたり、
トリビュート曲を書いたりしてました。
本人のソロはとんとご無沙汰のようですけどね。
Posted by 魂先生 at 2005年09月04日 00:15
なるほど!今更ながら
魂先生とPRINCE_CONTROLさんの情報量には太刀打ちできないということがよくわかりました!
シュギー・オーティスって、ウチにたくさんあるオムニバスLPの中に入ってて、その1曲を印象深く覚えただけなんですよね。だから名前が出てきてびっくりしたんだけど。

>プリンス・チルドレンと呼ばれる
その人たちが何やってるか完璧に知らないけど、やっぱり興味はありますね。
機会があれば聴いてみたいとは思いますが今は無理です。時間的にと言うよりは気分的に…
Posted by at 2005年09月04日 02:05

この記事へのトラックバック

Black Coffee
Excerpt: アーティスト:Al Kooper 発売年:2005年 収録曲: 01. My Hands Are Tied 02. Am I Wrong 03. How My Ever Gonna Ge..
Weblog: The Way 2 The Real Music V.2
Tracked: 2005-09-03 10:22

マイケル・ブルームフィールド!
Excerpt: テレキャスターに悩まされた週末であったが、そればかりにも構っていられないのが辛い週明けである。オヤジバンドも1年が経って、ライブ目前に各自の嗜好する音楽による方向性の違いが出てきたり、仕事で怒られたり..
Weblog: 趣味のロックバンド・・・
Tracked: 2005-10-12 21:41
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。