2005年09月01日

1999::Lady Cab Driver の謎(坂本龍一とプリンス)

1999.jpg

一見何の関係もないが、YMOとプリンスが同じ年にデビューしているのは、ほんの少しだけ注目してもいいかもしれない……

アルバム“1999”に、Lady Cab Driverという曲が収められているが、プリンスの数多い曲の中でもこの曲ほど難解な曲はない。曲自体が難解なのではない。曲自体はむしろとてもわかりやすいのだが、この曲がこのアルバムに収められていることが、私にはどうしても理解できない。

私の記憶では、80年代の日本の多くのレコードショップで、プリンスは“ROCK”の棚に分類されていた。プリンスの知名度を上げるきっかけになったのが“Purple Rain”であることを考えれば、これは別段不思議ではない。
70年代末に「ニュー・ウェイブ」と呼ばれていた新しいROCKの流れがあって、それとほぼ同時期に「テクノ」という流れが並行しており、この二つが大きなムーブメントを作り出していた。これは要するにNEW ROCKの完全な終焉と同時にそれと成り代るようにして訪れたムーブメントだったと解釈するとスッキリする。
そして、このムーブメントの大きな推力となっていたのは、当時のデジタル・テクノロジの急速な発展だった。

デビュー当時のプリンスは、若くて才能に溢れるブラック・ミュージックのアーティストだった。多少毛色が違ってはいても、棚割り的には、文句なしにブラック系の「棚」に分類されるはずだ。
そのプリンスが、(当時の)ニューウェイブ・ロックを完全に自らのスタイルに消化して、独自の新しいスタイルに仕上げたのが、まさにアルバム“1999”のタイミングであったと思う。

言葉で説明するのは容易いが、ニューウェイブ・ロック/テクノという流れと、伝統的なソウル/ファンクという流れを融合するのは容易いことではない。この二つの流れは、云ってしまえば水と油、お互いに他方を否定するような関係にある。
実際、この時代のこの融合を多くのアーティストが試みたが、挫折した例のほうが多いように思う。最もわかりやすい例をあげると、70年代に不滅の金字塔を打ち立てたスティービー・ワンダー、新しいテクノロジに誰よりも敏感だったはずのかれが、この時代に完全に挫折・失速している。



neogeo.jpg

話が飛ぶが、
YMOの絶頂期に、彼らがTVショウ“SOUL TRAIN”に出演したときのことを、とても印象的に覚えている。“SOUL TRAIN”でバカウケするYMOの姿が私には信じられなかった、というより許しがたく感じたりしたものだ。

坂元龍一が1987年に“NEOGEO”というアルバムをリリースしている。
ビル・ラズウェルとの「共同」プロデュース
ベースがブーツィー・コリンズ
ドラムがスライ・ダンバー、トニー・ウィリアムス、ジンジャー・ベイカー
イギー・ポップが1曲提供してヴォーカルをとる。
と、メンツだけはスゴイ。

坂本テクノに、おおざっぱにいえばある意味「肉体性」を吹き込むというコンセプトの元、このメンバーが集められ、そして「素材」として沖縄音楽が使われた。
歴史に残る、大失敗作である。大失敗作であるが故に、このアルバムの意義は大きい。

坂本龍一本人のインタビューで読んだのだが、このアルバムの制作時にビル・ラズウェルとの間で結構な「議論」があったらしい。
それは、ドラムをサンプリングするか、ドラマーに普通に叩かせて録音するかという意見の相違だったという。ビル・ラズウェルはドラムだけは、絶対にサンプリングでは拙い、という意見だったそうだ。
つまり、打ち込みドラムを使わずに、ドラマーに叩かせる、というのがこのアルバムのコンセプトの中で一つの焦点だったのだが、坂本龍一は、最終的にどうしても生音ではなくサンプリングを使いたかったということだ。
そして、最終的に、このアルバムでは、ドラマーが叩いた4章節分のサウンドを、サンプリングのユニットとして使用する(つまりループする)ということで妥協された。



話をプリンスへ戻そう。

スティービー・ワンダーが失速すると同時代に、坂本龍一やビル・ラズウェルと同質の試みとして比較してみたときに、プリンスの80年代が際立つ。
坂本龍一と正反対のことをプリンスがやっている。スタイルとしては極めて近く、同時代を共有しているのだが、それはあくまで「正反対」である。
坂本龍一は、テクノに肉体性を吹き込むためにブーツィー・コリンズ、スライ・ダンバー、トニー・ウィリアムス、あげくはジンジャー・ベイカーまでひっぱり出して、結果として単なる面白半分の駄作しか作れなかった。

そして、言うまでもない!
正反対にプリンスの肉体は「ファンク」そのものだ!!

続く(まとまんないじゃないか〜〜)
posted by BustaCat at 23:31| Comment(1) | TrackBack(2) | プリンス Prince | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
面白く読ませていただきました。

僕は、坂本氏のNEO-GEOは、
今聴くと面白いなぁと思います^^

最後の「after all」なんて、切り貼り感が斬新だと思いますが…。和音も好きです。
Posted by 風来坊 Ω at 2012年09月12日 10:06
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