2005年09月19日

ひばりを聴け

a-train.jpg

これを始めて聴いたのは車の中だった。FM番組で、おそらくこの曲の後半部分だけを意図時にオンエアしていたのだと思う。
心地よいスキャットがかかっていたので耳をひかれた。
黒人シンガーではないとは思ったが、それでも抜群のスキャットだと思った。
何小節か聴いて、歌っているのはネイティブではないと感じた。
スキャットを歌っていても母国語というのはなんとなくわかるものだ。
日本人?……とも考えたのだが、絶対違う、と思った。
あまりにスウィングしてぎるし、ファンキーだし、とにかくかっこよ過ぎる。
何より、リラックスして楽しげに歌いまくる様が「本物」を感じさせた。
それが、美空ひばりが十七歳のとき、1955年に録音されたという"Take The A Train"だった。

少女が進駐軍のキャンプでミミから覚えたJAZZの天才的物真似だ。これは物真似と呼んでしまうにはあまりにもすごい。私は見事に騙された!
日本人が歌ったあらゆるブラック系の音楽の中で最高のものかもしれない。おそらくそうに違いない。

あのタモリ氏、ことJAZZに関しては、妙にマジでうるさいオヤジと化してしまう彼が、山下洋輔との対談でひばりのJAZZを絶賛している

"Take The A-Train"から約10年後、彼女はこんなアルバムを録音している。
hibari_sing_jazz.jpg
ここには、既に貫禄さえ感じさせる演歌の女王がいる。しかし、こう言うと失礼だがバックのバンドが情けないほどに、ウタだけがスウィングしている。
これを揶揄して『演歌ジャズ』と呼ぶ人がいる。あるいは英語の発音にケチをつける人もいる。
しかし、ひばりのファンはこれを理屈抜きに楽しむだろうし、耳の肥えたジャズ・ファンはうなるはずだ。ここにあるのは、完璧に彼女の世界に咀嚼された云わばジャズのユニークなバリエーションで、しかも世界の人々の心を動かすことのできるレベルのものだ。
発音の指摘も瑣末だ。彼女の英語は中国でもインドでもフランスでも通用する世界英語であって、ウタにはそれで十分だ。

かつての天才モノ真似少女は、ジャズを完全に自分のものに変えてしまった。
モノ真似が巧ければやがて優れた音楽を作り出せる、と言うほど音楽は甘くはない。しかし抜きん出たクリエーターには、必ずといいほど熱心なモノ真似時代がある。創作とモノ真似は、とても近い才能だということが言えるはずだ。言ってしまえばそれは『差異』を区別する能力……かもしれない。

美空ひばりを聴いていると、音楽の価値観がゆらいでくる。





posted by BustaCat at 02:05| Comment(2) | TrackBack(0) | DOMESTIC... | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
数少ない日本人のホンモノの歌手ですね。
一度も生で観れなかったのが残念です。
周りで観た事のある奴がいて、歌いだした
瞬間の声を聴いて鳥肌が立ったと言ってました。

個人的に昔の和田アキコも結構ソウルを感じて
好きだったりします(笑)
Posted by ジャックスケリントン at 2005年09月19日 10:23
ジャックスケリントンさん。どうもです。
ひばり はスゴイです。
"Take The A Train"は、みんなびびります。でも、今の若い人に聴かせたら、アクが強すぎて後ろに引くかもしれません。

和田アキコも良いですよね。
和田アキコが歌う、ジャニス・ジョプリンとか聴きたいです(笑
それで言うと、ひばりがジャニスの"Summer Time"とか歌ったらスゴイことになるだろうな……
Posted by BustaCat at 2005年09月19日 23:28
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