2008年04月06日

Johnny Winter 不滅のB級ロックンロール(差替)

Live Johnny Winter And

1. Good Morning Little Schoolgirl
2. It's My Own Fault
3. Jumpin' Jack Flash
4. Rock And Roll Medley: Great Balls Of Fire / Long Tall Sally / Whole Lotta Shakin' Goin' On
5. Mean Town Blues
6. Johnny B. Goode



ギタリストとしてのJohnny Winterの評価は不当に低いと思うのです。今にも忘れ去られていまいそうな気配があります。

Rolling Stone の
The 100 Greatest Guitarists of All Time」 で、
Stevie Ray Vaughan 7位
Johnny Winter 74位
同じテキサス出身の白人ブルーズギタリストとして、Stevie Ray Vaughan(SRV)は、評価も知名度も高いのに、何故Jonny Winterの評価はこんなに低いのか・・・。これには納得できないものも感じます。

この人の評価の低さの理由を色々と考えてみた末の結論は、この人が超一流のB級ギタリストだ、ということです。
例えば、ディープな映画ファン(自称映画通)は、「B級SF」や「B級ホラー」を観る事はあっても評価はしないでしょう。でも、「B級SF」や「B級ホラー」には、映画の楽しさの原点が詰まっています。しかもB級映画の中には映画というものの本質を見事なまでにスッパ抜いた傑作が、少数とはいえ存在します。
Johnny Winterは、映画で言えば、そうした傑作B級作品に似ていると思うのです。
自称音楽通達にとっては評価しにくいギタリストでしょう。Jimi Hendrixを称えるのは実に簡単ですが、Johnny Winterを称えるのは少しばかり勇気が必要かもしれません。
そんなこともあって、私が大々的に紹介します。

レガシーロックギターの本質、というものがもしあるとすれば、Johnny Winterはその一面を見事に濃縮しているかもしれません。
Johnny Winterのギターを語るには、同じくテキサス・スタイルの白人ブルーズ・ギタリストStevie Ray Vaughan(SRV)と比較するのが一番でしょう。

かつてEric Clapton(EC)が、60年代の自分のギタースタイルを振り返って「あれはロックンロールだった」と語っていたことがありました。
この時の『ロックンロール』にはあきらかにネガティブな含みがあります。
同じくECが「死ぬまでブルーズを弾き続ける」と語るときの『ブルーズ』には、あきらかにリスペクトがあります。
このECの言葉に象徴的されるネガティブな含みでの『ロックンロール』スタイルであることがJohnny Winterの評価を下げ、逆に一般的なブルーズへのリスペクトがStevie Ray Vaughan(SRV)の評価を上げているように思えてなりません。

Johnny Winterがデビューした時のキャッチは「百万ドルのブルースギタリスト」というものでしたが、端的に言ってJohnny Winterは、ロックンロールのギタリストです。紹介したライブアルバムを聴けばよくわかると思います。思い切りブルージーなロックンロールギタリスト、と呼べばぴったりでしょう。
一貫してストレートでわかりやすいスタイルは、実に爽快なのですが、Johnny Winterのギターは爽快で片付けられるような半端なものではありません。

まず、テンションの高さが異常です。
弾き始めていきなりハイ・テンションに達し、弾き終わるまで決してテンションが下がりません。テンションは上がりっぱなしなのですが、その間で破綻することが全く完璧といっていいほどにありません。こういうテンションの高さを持ったギタリストを私は他に知りません。これは、著しく安定した技巧の裏づけを物語ります。
Stevie Ray Vaughan(SRV)のソロは途中で必ずタれます。あるいは、気合が先走りして空周りします。これは異論があるかもしれませんが、技巧的にはSRVより全盛期のJohnny Winterが上だと私は思います。

次に驚異なのが「捨てフレーズ」がないことです。
普通のギタリストは、ちょっと長めのソロを取ると、間がもたなくなったところで、手癖の「捨てフレーズ」でなんとなくごまかすものですが、Johnny Winterには「捨てフレーズ」がほとんどないんです。ストレートであるだけではなく、決してごまかさないギタリストでもあります。
SRVのギターには、光るフレーズが満載ですが、同じ量の捨てフレーズがあります。

あるいは、人によってはJohnny Winterのスタイルを、手癖で弾きまくるだけの速弾きクレイジー、といった批判をするかもしれません。

しかし、ギターという楽器は、97%の手癖と3%くらいのインスピレーションで弾く楽器だと思うのです。その3%が5%になったら名ギタリスト、それが10%もあったら立派な天才でしょう。
さらに、仮に手癖が99%だとしても、いいギタリストはたくさんいます。そういう人は、おそらく職人肌の名ギタリストと呼ばれているはずです。

Johnny Winterは、確かに手癖系ではあります。しかし、手癖だけであそこまでクレイジーに弾けるギタリストは他にはいません。それだけでも至宝です。しかも彼の手癖には、ギターという楽器が持つ色気やツボやネタがたっぷりと含まれています。

そして速弾きについてですが、今の時点で物理的にもっと速く弾くギタリストは大勢いるでしょう。でも、ギタリストにとって物理的な速さなどというものは、どうでもいいことです。アスリートじゃないんだから。
Johnny Winterの魅力は、実際に弾いている物理的な速さよりも速く「聞こえる」ということです。スリリングなフレーズをたたみかけることで実際に弾いている速度よりもはるかに速く感じるのです。速弾き系ギターの魅力は、実は、物理的な速さではなく、速度感(それを感じさせる技)です。その最良の例の一つがJohnny Winterスタイルでしょう。

>ギター少年たちへ
速弾きの練習もいいんだけれど、どうして君のフレーズは、ねっとりと重く、遅く、しかもダサく聞こえるのか、よ〜く研究してみることをお勧めします。黒人ブルーズギタリスト達は不器用な人が多いのに、彼らのフレーズは、何故、あんなふうにスリリングに聞こえるのか。それがわかったらギター少年として半分勝ったようなもんだと、私は思いますよ(笑



いつになく力が入ってしまいました。
アルバムの方を紹介します。
前に「忘れられた名盤」の記事でもとりあげた『Live Johnny Winter And』です。
Rick Derringerが見事な脇役として2ndギターを弾いています。器用な人です。彼が"It's My Own Fault"でちらっと聴かせてくれるソロが、正に標準的な白人ブルーズ・ロック・ギタリストのプレイだと思います。これはこれで悪くないプレイなのですが、あくまでもJohnnyのギターを引き立てる役に徹しています。
LPは71年、CD化は89年ですね。
荒っぽさとイナタさと、ストレートなロックンロールとテキサスの凶暴、そして超絶技満載の「手癖」プレイと、意外なほどにハイテクなアンサンブルがたっぷりと楽しめます。かなり編集が入っているとはいえ、暴走しそうでもきちんとドライブするバンドのテクニックにも注目してください。
唯一のスローブルーズナンバー"It's My Own Fault"でさえ、快速ドライブで駆け抜けます。12分にも及ぶスローブルーズをここまで聴かせるギタリストはそういるもんじゃありません。

「渋さ」などとは縁がない、ロックンロールそのものです。
1曲目を聴くといきなり「古くさ−」などと感じるかもしれませんが、たったの40分ですから、どうか最後まで付き合ってみてください。きっと感じるところが何かあると思います。

Great Balls of Fire
私が最も愛したRock and Roll Guitar
Johnny Winter
あなたのように弾きたくてまだ十代だった私が
どれほど夢中でコピーしたことか
漆黒のブルーズ・ギタリスト達の凄さ
それを教えてくれたのもあなた



Crossroads Guitar Festival 2007で、Drek Trucks Bandを従えたJohnny Winterの姿がありましたが、残念ながら体力的な衰えは隠せない模様でした。視力がほとんどなくなっているという情報もありました。それでも生きていて、まだプレイしてくれているだけで私はうれしいです。
posted by BustaCat at 01:00| Comment(5) | TrackBack(0) | ギタリスト Guitarist | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ああ〜、BustaCatさん、アツい!そして濃い!(笑)
Johnny Winter私も好きですよ〜。
あの超絶弾きまくりのギターは普通じゃないですよね。
「Captured Live!」なんて今聴いても、凄いと思いますよ。

昨年10月、Nancyオーナー岸田さんが、アメリカのテキサカナ・ブルース・フェスティバルに出演したんですけど、その時もう一人のギタリストが何とJohnny Winterだったようで、その時の感想をメルマガで配信してたので一部抜粋しますね。
「何十年も聴いてきたブルースのフレーズ。というか、誰でも弾けるようなフレーズを聴いて、まだこんなも感動できるのだろうか?色んなスタイルを弾ききる超絶テクニックのギタリストをたくさん見たが、それなりに感動したが、ブルースだけでこれだけ感動したことはない。しかも、バンドではなく1人で勝負している。バックの2人も凄腕だと思うが、顔すら覚えていない。何というパワーだ!!!実は、演奏前、トレーラーでお会いした時は、あまりにも弱弱しくて「大丈夫??」と心配しました。ところが、一端ステージへ上がった途端、信じられないパワー。ミスター・ジョニー・ウィンターにノックアウトされた嬉しい一夜でした。55歳にして、まだ感動できるギタリストがいたんだ。彼を日本では見れないらしいですが、本当に残念です。まだまだ、ジョニーは光り輝いていました。」
今でも、実際に目の前でみたら、相当凄いみたいですね(嬉)
Posted by オクターブの共鳴音 at 2008年04月06日 13:09
オクターブさんどうもです。
日頃から暑苦しい記事を書く私ですが、今回は読み返して恥ずかしいくらい暑苦しい記事となりました(笑
今日出かける前に読み返して、あまりに赤裸々で見苦しいので、思わず消そうかと思ったのですが(笑)、これはこのまま残します。
ECとJohnny Winterは私の10代の
「せい〜しゅん〜その〜もの〜」(←松任谷由実のメロディーで)です。

それにしてもNancyオーナー岸田さんの話って、聞くほどに羨ましいことの連続ですね。

>誰でも弾けるようなフレーズを聴いて、まだこんなも感動できるのだろうか?・・・
>ブルースだけでこれだけ感動したことはない・・・
う〜ん。たった、2行で十分に言い尽くしていらっしゃいます。私はこれだけ書いてもまだ書き足りないと感じていたのに。文章の効率からいって完全に負けてますね(笑

でも、そうなんです。ギターのスタイルの限界に挑むかのような超絶技がある一方で「誰でも弾けるようなフレーズ」が感動するほどスゴかったりするところが、ブルーズ・ギターの不滅の魅力だと思うんです。
「Captured Live!」もいいんですが、超B級の迫力でLiveに軍配を上げました。
Posted by BustaCat at 2008年04月06日 23:39
ジョニー・ウィンターのフレーズには「捨てフレーズがほとんどない」>実に素晴らしい的を得た表現ではないでしょうか。この「ライヴ・ジョニー・ウィンター・アンド」は学生の頃、周りでは持っていない奴が無いくらいの、マストなアルバムでした。オープニング一曲目「グッドモーニング・リトル・スクールガール」の爆裂ドラムのイントロからギターのリフに入るところは、何度聴いてもゾクゾクしますね。生で観れないのがホントに残念です。
Posted by ジャックスケリントン at 2008年04月09日 00:45
ジャックさん。どうもです。
>学生の頃、周りでは持っていない奴が無いくらいの、マストなアルバムでした。
私の学生時代も全く同じです。「消えた名盤」を機会にひっぱり出して聴いてみたのですが、何だ、今聴いてもカッコいいじゃないか・・・てな感じで感動して投稿となりました。
この人の「生」を聴くのは難しそうですね。
過去に一度だけ日本公演の話があったらしいのですが、「体調不良」とかの理由で向こうからキャンセルになってしまったらしいです。非常に残念です。
Posted by BustaCat at 2008年04月09日 01:23
Johnny Winter が何位で評価されようが気にする必要はありません。頑固一徹職人にはそんなことは意味のないことです。
Posted by Momomamarin at 2010年09月19日 20:09
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